くら寿司投資物語

株式投資を始めたのは今から13年ぐらい前だろうか。正確な年数は覚えていない。

ユニクロ」の株が欲しいと思ったのがきっかけだった。
どうやったら株が買えるのか、株取引関連の本を読み漁った。

そして、ネット証券に口座を開き、「ユニクロ」ではなく「カプコン」の株を買った。

ユニクロこと「ファーストリテイリング」は、その時フリースブームの終焉による業績悪化で、14000円だった株価が2000円まで下がっていた。
本の中の知識しかなく株取引の経験もない自分には、140万円の株価が20万円まで下がってしまった企業の株など買えるはずもなかった。
しかし、すでに頭の中は株を買うという投資をやってみる事に夢中になっていた。
違う株の選定をしてみたけど、ユニクロ以外は特に何も思い浮かばなかった。

投資入門書を読み返すと、最初は好きな企業に投資してみるのもいいでしょう、と書かれていた。
その時、特に好きな企業はなかったけど、昔ゲームばかりやっていた頃に、一番凄くて一番面白いゲームを作ってくれる「カプコン」が好きだったなと思い出した。
そして、もう何年もゲームなどやっていなかったけど、「カプコン」を100株買ってみた。
なぜその時「カプコン」に、買いの命令を出したのかは、今ではもう思い出せない。

始めて買った株が値上がりしたという話しはよく聞くが、自分が初めて買った「カプコン」は、購入後から毎日値下がりしていった。

含み損が増えていくのが悔しいので、難平買いをした。それでも、毎日下がり続けるので、さらに難平買いをして、平均買い単価を下げていった。
結局、証券口座に入金した200万円で買えるだけ難平買いをして、最終的に「カプコン」の含み損は100万円に達していた。

毎日、全然減らない含み損を見るのが苦痛で仕方がなかった時に、決算発表があった。

正確な数字は覚えていないが100億円クラスの大赤字だった。
この赤字決算発表で、買値の半分以下になった株価がさらに下がっていくのだと思うと、怖くて震えが止まらなかった。

次の日の朝、出勤前に全株成り行き売りの注文をして仕事へ行った。

9時過ぎに携帯でチェックをしてみると、当然だが全株売却されて100万円の損失が確定されていた。
含み損から開放された安堵と、これ以上損をしなくて済んで良かったという気持ちになったのは束の間だった。

寄り付きの売却後から、「カプコン」の株は上昇しだした。自分が損切りした所が、まさに底だったのだ。
その後も上昇を続け、株価は難平買いで下げた平均買い単価を一月ほどで超えていった。
悪材料出尽くし、折込み済み、という言葉の意味を知った瞬間だった。


因みに、最初に投資しようと思った「ユニクロ」は、その時の2000円近くを底値に現在まで上昇中で、昨日の終値は44005円だった。
もし底値付近で買っていたとしても、今まで持ち越せる訳はないし、他の銘柄で同じような損はしていたと思う。


さて、初めての株式投資が100万円の損で終わり?
そんな訳にはいかないので、証券口座に追加で300万円入金した。

今度は値上がりしそうな企業はないかと調べている時に、ふと「くらコーポレーション」という企業に目が留まった。
くら寿司」は化学調味料無添加で美味しいなと思っていたので、何か関係があるのかと調べたら、回転寿司「くら寿司」を運営している会社だった。
まだ、大証ヘラクレスに上場したばかりだったし、これから大阪以外にも店舗を増やして成長していく企業に思えた。実家の近くで創業した企業という事にも、運命みたいなものを感じた。

その当時、自分は化学調味料が入ってる食べ物は食わん、とドヤ顔でいきっていたし、自然コープが毎週配達してくれる、お高いけど無添加の食材しか食べていなかった。
これからは、化学調味料無添加の時代が来ると思い込んでいたし、食事券がもらえる株主優待も魅力的で「くら寿司」に投資しようと決めた。

くらコーポレーション」は、1株30万円ぐらいで、1ヶ月の間に5株買った。記憶にないけど、短期間に5株買ったということは、「カプコン」と同じで値下がりして難平買いしたのだと思う。

しかし、その後は順調に「くら寿司」は成長を続けて、大阪以外にも店舗を増やして行った。

途中で株式分割、増配、株主優待の拡充などがあり、東証2部への市場変更、そして東証1部に昇格を果たした。

全国各地に店舗も増え、回転寿司といえば「くら寿司」の名が上がるほど知名度も上がったので、これ以上の株価の上昇はないだろうと思い、「くらコーポレーション」の保有株をすべて売却して、投資額の3.5倍ほどの利益を得た。

今思えば、「くら寿司」に投資していなかったら、ライブドアショックリーマンショック東日本大震災後の株価の下落に耐えれなくて、株式市場から退場していたかもしれない。
特にリーマンショック後の株価の下落はひどくて、含み損で投資資産が半分以下になってしまい、1年以上株価を見るのをやめてしまった。
その後、いつの間にか「くら寿司」は値上がりしていて、投資資産は回復していた。

誤算は、「くら寿司」は大きな会社になったけど、無添加の「くら寿司」ということが、重要視されて大きく成長したのではないということ。
自分も今では化学調味料が使用されている食べ物も普通に美味しいと思って食べているので、「くら寿司」成長の絶対的自信の根拠だった化学調味料無添加は、あまり関係がなかったのかもしれない。

でも、あの時「くら寿司」に投資できたからこそ、今、パートタイムの少ない労働だけで生きていけるのだと、毎日感謝している。

本当にありがとう、くら寿司様。

















去年、2600円で2500株売却したくらコーポレーション(2695)の今日(2015.2.13)の終値は3595円だってよ。